LOGIN「さあ行こうか、冒険者ギルドに。」
二人で、ギルドまでの道のりを歩く。普段と変わらない道のりなのに、なんだか寂しい気持ちになる。ギルドにつくと、ヴィゴーレ様はもう来ていて依頼掲示板を見ていた。
こちらに気づいたらしく
「おはよう、テネレッツァ。今日は誰か連れてきたのかい?」
「はい、うちの母さんです。母さんがヴィゴーレ様に話があるらしくて」
「初めまして。テネレッツァの母です。」
「こちらこそ、ヴィゴーレだ、よろしく。話があるそうだな。」
「はい、できれば二人で話したいのですが。」
ヴィゴーレは少し考えた。
(二人で話すのは構わないが、テネレッツァを一人にすると前みたいに絡まれるかもしれない、どうしたもんか)
「召喚。エルバフィーア」
赤ちゃんくらいの大きさの緑と薄い肌色をした猫のような魔物が出てきた。
私は、目を輝かせて
「なんですか。この可愛い動物は。抱っこしてもいいですか?」
「抱っこしててもいいから、少し二人で待っておけるかい?」
「わかりました。」
(ん?二人?)
遠目から見ると微笑ましい光景が目に入った。
テネレッツァがエルバフィーアをものすごくかわいがっている。見ているこっちが癒されそうだ。
「おっと、では本題に入ろうか。テネレッツァのお母様いやヴェリミーア様?」
「やっぱり、気づいていましたか。」
「話したいことというのは、そのノートのことかい?」
「はい、このノートを来たるべき時が来たときあの子に渡してください。それと、これから私の代わりとしてあの子を、テネレッツァを支えてください。」
いつになく、丁寧に話をするヴェリミーアは、覚悟を決めたような顔つきをしていた。
「あんたなら、大丈夫だろ。あそこに行くんだろ?せいぜい気を付けていくんだな。」
二人の話が終わって再びテネレッツァのところに行くと案の定また絡まれていた。
だが、今回は違う。緑色の長髪で身長の高い女性がテネレッツァをかばっていた。
「そこをどけって言ってんだよ。てめぇみたいな女に興味はねぇ。そこのクソガキに用があんだよ。」
あいつはこの前も絡んできたガンドラとかいうやつだっけ。
まあ、あいついるし大丈夫だろ、とか思っていると
「あなたたちに用はないそうですよ。とっととお引き取りください。筋肉バカさん?」
「てめぇ、いい度胸だな。おめえから教育してやんよ!」
ガンドラの拳が女性に届きそうになるところでギルド内に、怒声がひびいた。
「お前たち何をしている!」
みんなが声の元の方を見ると、身長180㎝くらいの男性が立っていた。その人からあふれ出る魔力量はすさまじい。
(この人、すごい魔力量だな。でも母さんの方が多いや)
「ギ、ギルドマスター!」
「カレラ、状況を説明しろ。」
「はい、そちらの子供の冒険者と付き添いの魔獣が依頼掲示板の前で依頼を見ていたところ、ガンドラさんの足を踏んでしまったらしいです。本人はすぐに謝りましたが、ガンドラたちは気が済まなかったらしく、詰め寄ったところを女性が助けにはいった、ということです。」
「お前、何者だ?」
「私の名前は、エルバフィーア。ヴィゴーレ様の従者です。」
横を向くとヴィゴーレともう一人女性が立っていた。
「なるほどな。ヴィゴーレはそこの子供とパーティーを組んだんだったな。」
後ずさりをするガンドラたち、それをギルドマスターが見逃すわけもなく
「そいつらを牢に放り込んでおけ。後でたっぷりしごいてやる。」
ガンドラ達はあっさり連れていかれた。
状況が理解できていないテネレッツァにヴィゴーレが、
「こいつは、エルバフィーア。精霊であり、私の従者だ。精霊だから人に変身するのなんて朝飯前だしな。」
「あんなに可愛い猫が、、、」
「ワーライズ、あとは任せていいか?」
「構わん、こっちの失態だしな」
そう言ってギルドマスターであるワーライズは、奥に戻っていった。
「テネレッツァ」
そう母さんが呼んだ。
「テネレッツァ、一人でも頑張って生きていくんだよ。強く生きな。」
そう言って強く抱きしめてくれた。久しぶりに感じるあったかい抱擁だった。
「じゃあ、ヴィゴーレ頼んだよ。」
「ああ、任せておけ。」
そう言うとお母さんはギルドから出ていった。
「さて今日はなんの依頼を受けようかねえ」
そう言うヴィゴーレに私は聞いてみた。
「ヴィゴーレ様、私も母ぐらい強くなれるでしょうか。」
「なれるさ。それだけ努力をすればいい。ってことで今日は魔物討伐依頼でもするか!」
「はい!」
その元気な返事の裏には揺ぎ無い決意があった。
私達は、獣人族の人たちに見送られながら、獣人族の大地を出発した。「テネレッツァ様、まずどこに行きますか?」「うーん。着く場所にもよるけど、ルミエール教国かな」船はベラリアに行った時と同じで、すごい速度で進んでいく。海上で四日ほど過ごしていると、段々と陸地が見えてきた。「不思議なこともあるもんだね。あそこ、私たちが出発したとこじゃない?」「確かに、そうかもしれませんね」ゆっくりと速度を落とし、岸に船をつけた。「で、ここからどっちに行けばいいんだろ」テネレッツァは、きょろきょろ周りを見渡していた。すると、「ガアア!!」近くの木々から、オーガと思われる魔物と、それを守るようにゴブリンが現れた。「あちゃー。ばれちったか。仕方ない、エル!やるよ!」「承知いたしました」なぜ、ゴブリンがオーガっぽい魔物を守っているのかテネレッツァ達は見当がついていなかったが、とりあえず倒すことにした。「ウィンド 5連」エルの魔法でゴブリンが吹き飛び「プーラ・エルドゥーラ 貫通弾」テネレッツァによってオーガっぽい魔物の腹に風穴が開き、そのまま倒れた。「いやあ、手厚い歓迎だねー」「ある意味そうですけど」試しに周囲を探査してみると、見覚えのある反応があった・「テネレッツァ様、何かありましたか?」てくてく歩いていくと、古ぼけた焚火後があった。「間違いなくここは、私達の出発したばしょですね」エルもこれを見て確信したようだった。再度周囲を見渡すと、あたりが出発した時よりも、荒れ果てているように見えた。「なんか、廃れていない?」「あら、奇遇ですね。私も思いました」エルは風魔法を使い、周囲の草を切り飛ばした。「では、ルミエール教国へ行きましょう」テネレッツァは、半分あきれ顔で
「どうしたのですか?そんなに慌てて」「どうしたもこうしたもないよ!本大陸が、トーラント共和国がバングラス帝国に落とされた!そして、深淵が復活してしまった!」「え?」テネレッツァは、もう何が何だか分からなくなってきていた。(さっきから、情報量が多すぎるよ!)そういえば、今日は朝から、本大陸の方の天気がとても不安定そうだった。まさか、これの前ぶれだったの?「テネレッツァ様、どうかされましたか?」その様子を見かねたのか、エルが心配そうな表情でテネレッツァに聞いてきた。そこで、テネレッツァはティグニスとオーロラ、エルに今日あったことをすべて話すことにした。「そうでしたか。それで、あの時、無意識にあの姿になっていたのですね」エルも納得していたようだった。ただ、あの時、というのをテネレッツァは分かっていなかった。「それよりも気がかりなのはトーラント共和国が落とされたのと、深淵がついに復活したことですね」「一体、どうやってそんなにも早く深淵を復活させたのでしょう」ティグニスは疑問の表情を浮かべていた「本当にそうですね。あれは精霊石がないとこんなにも早く復活させることはできないはずですが」「「あっ」」「どうかいたしました?」テネレッツァとエルはその一言に心当たりがあった。というか、それしか考えられなかった。「あの時、精霊石を投げた相手が魔族だったのですね」「どういたしましょう。今から、本大陸に戻られますか?」「いいえ、明日行われる祈りの儀だけは務めさせていただきます」テネレッツァは意外に思っていた。エルが、自分の意見をここまで主張することはそうそうあることではないから「エルって変わったよね。ほんとに」「私は変わったつもりはないのですが」ご飯を食べ終わった後、エルはそのまま明日の準備をするために、ティグニスと出かけ
「いま、なんと?」「ですから、真実の秘宝を私にください」ティグニスはテネレッツァのいきなりの一言に驚いている。「では、一つだけ、質問してもよろしいでしょうか」「なんでしょう」「なんのために、あれを使うのですか?」ティグニスははっきりと、テネレッツァに言ってきた。その一言を言われたテネレッツァは少し戸惑っている。そして、「私は、私が何なのか。誰の子なのか。それが知りたいだけです」その真剣な眼差しを見た、ティグニスはついに折れた。「分かりました。では、案内いたしましょう」王城の地下。王族でも王しか入ることを許されない場所にテネレッツァは今、踏み入っている。「これが、その「真実の秘宝」です」見せられたのは、手のひらサイズの小さな宝玉だった。テネレッツァが、触れようとした瞬間眩い光が放たれ、テネレッツァは吹き飛ばされた。光が収まったと思ったら、宝玉から一匹の獣が出てきていた。「我は、神獣 麒麟。汝は何がために我の力を欲する」「私は、私について知りたい」「そのために、我の力を欲するというのか」麒麟は、やや呆れているようである。「麒麟様、私からもお願いでございます。どうか、この者の願いを聞き入れてくれないでしょうか」「王の頼みならば、仕方があるまい。だが!この場に残っていいのはテネレッツァ、そなたのみだ。他の者は外で待たれよ」麒麟の命に従い、他の者は出ていき、この場には麒麟と、テネレッツァだけが残っていた。「では、話をしようかの。テネレッツァいやアイリアよ」「一人で大丈夫でしょうか」「麒麟様だから、変なことはしないでしょうが」「やっぱり不安ですね」「二人とも、そんなに心配しなくてもいいでしょう?」二人が振り向くと、そこ
ディアと呼ばれた男は鞭を出してきて、襲い掛かってくる「わ、ちょ、あぶな!」間一髪でかわし、次の一手を考える。(鞭かあ。戦ったことないんだよねぇ)「とりあえず 残花残霊槍 乱桜!」乱れ突きのように相手を攻撃していくが、謎の障壁に阻まれた。「そんな攻撃、我には通用せぬぞ!暗黒魔法 ダークレイ!」どす黒いビームが私に向かって飛んでくる。「プーラ・エルドゥーラ 氷砲 アイス・カヴェア(氷檻)」また、ぎりぎりのところで防ぐことが出来たが、これでは勝てそうにない。「なら!残花残霊槍 一限解放 千鬼乱桜」鬼の如く相手に切りかかっていく。
今、私たちは競技場から少し離れた、精霊専用の店に来ている。試合の時も、休憩の時も、支援魔法を使ってこのちっちゃい耳を強化して、母に関する情報が無いか探していた。その時、少し気になることを聞いた「明日が祈りの儀だよね?それが終わったら少し気になる場所があるから、そこに行きたい」「それなら、明日の儀は完璧にして、王に無理を聞いてもらうしかないですね」何を頼むつもりなのだろう、と思いながら、メイドさんに用意してもらったお昼を口に運ぶ。どれも子供用に作ってあるのか、味も濃すぎず素材の味もしておいしかった。「さてさて、午後の部はっと」貰った紙を眺めようとした瞬間、競技場の方から爆発音が聞こえた。遅れて、爆風がやってくる。「な、なに?」「何か、よからぬ者がやってきたようですね」私の問に険しい顔でエルは答えた。嫌な予感がしたので、急いで競技場へと向かう。「テネレッツァ様、もし接敵してもそのローブと仮面は絶対に外さな
大精霊祭 二日目今日は、各種族の代表が集まって親善試合を行う日。種族の代表なので、負けると一族に泥を塗ることになる。なのでみんな必死に力の強い者を連れてくる。朝、私とエルはご飯を王城で頂いた後、その親善試合を見るために、闘技場を訪れていた。「この場所に来ると、部活対抗魔法武術祭を思い出すね」「あれは、テネレッツァ様にとっては苦い思い出でしょう」「ははっ、確かに」雑談をしながら、待っていると、大きなドラが鳴らされた。「今年も、この日がやってまいりました。種族代表の親善試合です!」観客席から歓声が巻き起こる。「さあ、早速始めましょう!最初は、犬族代表インペルト対猫族代表サイドです!」左から、がっちりとした体つきの大男が入ってきた。手には刃が潰されている大剣を持っていた。対する、猫族は犬族より一回り小さく、武器も鞭である。見た感じでは犬族が勝ちそうだけど、どうなるかは始まってみないと分からない。そんなことを私は考えていたのだけど、エルはもうすでに試







